Keyword
立法不作為、違憲の主観化、立法事実の変化
研究テーマ
- 憲法判例
- 違憲審査
研究ハイライト
立法《不作為》は立法《不存在》と(おそらく同時に,立法上の《作為》と《存在》する立法とが)同視されることがある。これは、立法《不作為》が制度具体化法《不存在》をもたらしている事例を念頭に置くものだろう。平成10年公選法改正による在外投票制度導入以前,在外国民が置かれていた状況がこれに当たる。だが在宅投票制度廃止訴訟(最一小判昭60・11・21民集39巻7号1512頁)には制度廃止という《作為》が制度具体化規定《不存在》状態をもたらした面も含まれる。逆に投票価値の較差は立法改廃《不作為》の結果《存在》する立法が違憲状態に至ったかをめぐる問題だ。また再婚禁止期間一部違憲判決(最大判平27・12・16民集69巻8号2427頁)は,当時《存在》していた規定の改廃《不作為》を「本件立法不作為」と呼んでいる。かように、立法《不存在》をもたらす原因には立法府の作為・不作為の両方があり,立法府の《不作為》がもたらす結果にも、権利制限立法の《存在》の継続と権利具体化立法《不存在》の両方がある。立法上の《作為》≒規定の《存在》と立法《不作為》≒立法《不存在》との間の区別論により判例を統一的に説明するのは無理なのだ。「料理」という同じ語が、料理を作る行為と、その行為を通じて作られた食べ物の両方を指すように(「過程と産物の両義性(process-product ambiguity)」)、立法《不作為》=立法《不存在》という想定もまた、原因行態(process)とその結果(product)との間の混同の一例といえる。
研究の応用・展望
これまで学説及び実務で広く用いられてきた基本概念のさらなる精確化を目指している。
文献・知財・作品
- 最高裁判所裁判官国民審査法が在外審査制度を設けていないことの合憲性 新・判例解説Watch/26号31頁以下(2020-04)
- 「合憲限定解釈」または「憲法適合的解釈」の諸相 白鷗法学25巻1・2号75頁(2018-11)
- 「違憲の主観化」について 筑波ロー・ジャーナル24号29頁(2018-06)
- 最新判例批評(最高裁平成23.9.22判決,最高裁平成23.9.30判決) 判例時報2151号 (判例評論642)148頁(2012-08)
- 「憲法判断の対象」としての《規範》と《行為》 : 「義務賦課規範」・「権能付与規範」区別論の観点から 筑波ロー・ジャーナル11号25頁(2012-03)
40250659
ビジネスサイエンス系
Faculty of Business Sciences
Collaborators: