クライオ電子顕微鏡によりビフィズス菌酵素の微小構造を発見

代表者 : 岩崎 憲治  

ビフィズス菌では、ホスホケトラーゼ(PKT)という酵素が、単糖類の発酵において重要な役割を担っています。酵素の能力はその形状(立体構造)に依存しており、産業利用などで酵素を高機能化するためには、立体構造情報は大変重要です。通常、酵素の立体構造は、X線結晶構造解析などを用いて解析しますが、今回、クライオ電子顕微鏡を用いて、ビフィズス菌PKTの立体構造を決定しました。その結果、X線結晶構造解析では観測することができなかった、アミノ酸結合の微小な構造を捉えることに成功しました。

特に、基質結合ポケットの入り口に位置するQNループと名付けた、四つのアミノ酸から構成されるループにおける微小構造の発見は、重要な知見です。この微小構造が、酵素の基質取り込みに関係していることが分かりました。QNループには二つのコンフォメーションがあり、一つは基質のない状態で報告されたX線結晶構造解析の結果と類似しており、もう一つはクライオ電子顕微鏡で初めて捉えられたものです。本研究では、これらを同時に観察することができました。このようなQNループの微細構造は、基質が結合した大腸菌の酵素と、対応するループのコンフォメーションがとても似ていることから、酵素の基質取り込みに関係していると考えられます。

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プレスリリース

研究代表者
筑波大学生存ダイナミクス研究センター
岩崎 憲治 教授