地球で最初に誕生した生物は球状だった可能性を実証

代表者 : YING BEIWEN  

地球上で最初に誕生した生物の姿を研究することは、生命の始まりを理解する上で非常に重要です。これまで、最初の生物がもつタンパク質や遺伝子などについては多くの研究がされてきましたが、タンパク質や遺伝子の入れ物、つまり生物(細胞)の形についてはほとんど研究されず、謎のままでした。本研究では、地球で最初に生まれた生物が球状であった可能性を、実験で初めて示しました。

本研究では、現代地球生命のモデル細胞である大腸菌を、人工的に再現した原始地球環境下で培養することにより、地球上に誕生した最初の細胞がどんな形だったのかを調べました。その結果、大腸菌の形状は、擬似原始地球環境では徐々に、本来の桿状(棒状)から球状に近づき、それに伴って、増殖の速度が上昇しました。また、球状になった大腸菌は、エネルギーを節約しながら増殖していることも分かりました。これらのことから、栄養が少ない原始地球において、効率良くエネルギーを作り出し、それを節約しながら増えるためには、球状細胞であることが必要だったと考えられます。

現在の地球環境は原始地球環境とは大きく異なっており、その環境変化に適応するように、生物の形状や振る舞いが変化してきました。原始地球に最初に誕生した生物の形や振る舞いが明らかになれば、地球生命がどのように地球環境に連動して変化するのかが解明でき、また、この変化プロセスの詳細が分かれば、これから起こりうる生物や環境の変化が予測できるようになるかもしれません。

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プレスリリース

研究代表者
筑波大学生命環境系
應 蓓文(いん べいうぇん) 准教授