COVID-19流行による在宅医療従事者のストレスは医師以外の方が強い〜職種別メンタルヘルス調査を実施〜

代表者 : 濵野 淳  

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大が、医療従事者のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことが、世界的にも明らかになっています。しかし、今までの研究は、救急医療に従事する医療従事者、特に医師と看護師のメンタルヘルスに与える影響に関する調査が多く、在宅医療(訪問診療)従事者を対象とした調査は限られていました。

本研究では、COVID-19の流行拡大が続く2021年8月に、在宅医療従事者のメンタルヘルスや関連する支援の実態を初めて調査しました。その結果、在宅医療に従事する看護師、ソーシャルワーカー、事務職員は、医師よりも強いストレスを感じていることが分かりました。これは、在宅医療では、訪問先の感染状況が分からない状態で最初に患者や家族に接するのが医師以外の職種である場合が多いことや、住宅環境によっては、適切なソーシャルディスタンスが保てないことなどが関係している可能性が考えられます。また、専門家による感染コントロールの指導、心理的ストレスや感情的な疲れをサポートする体制が十分ではないと感じている在宅医療従事者ほど、COVID-19感染に関する恐怖や、不安が強くなる傾向が見られました。

これにより、COVID-19の流行拡大が在宅医療従事者のメンタルヘルスに与える影響や必要と感じる支援は職種によって異なり、職種に応じたメンタルサポートや支援が必要であることが示唆されました。

これらの結果を踏まえ、今後は、在宅医療従事者に対する適切な支援の在り方、および、それらの支援を各地域で実践していくための方策を検討することが必要と考えられます。

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プレスリリース

研究代表者
筑波大学 医学医療系
濵野 淳 講師