代表者 : 濵野 淳
がん患者に限らず、心不全、呼吸不全、認知症などの非がん患者に対する専門的な緩和ケアは世界的にも重要とされていますが、日本では非がん患者が緩和ケア病棟(PCU)へ入院することは少ないと言われています。しかし、その実態や、PCUで働く医師や看護師等の医療者が、非がん患者を受け入れる際に必要と感じている支援については明らかになっていませんでした。
本研究では、日本における非がん患者のPCUでの入院の現状と受け入れに必要な支援、およびPCUでの非がん患者の受け入れに関する各施設の意向や支援について調査しました。その結果、PCUの15.2%で、非がん患者を受け入れた実績があることが分かりました。また、75%の施設は、PCUで非がん患者を受け入れるためには、現在の医療保険では極めて低額の入院費用の給付となっているため、がん患者と同等の入院費用が給付されることが「必要」とし、これが給付される場合、59.1%の施設が、非がん患者の入院を「受け入れる」と回答しました。
非がん患者をPCUで受け入れる意向がある施設は、そのための支援として、入院基準を明確にすること、非がん疾患の緩和ケアに関する教育・研修システムの確立、そして、院内の専門家から支援してもらえる体制、などが必要と考えていることが分かりました。
この結果は、日本における非がん患者に対する専門的緩和ケアの現状を明らかにするとともに、より多くの非がん患者が専門的緩和ケアを受けられるために解決すべき課題を示しています。今後、国や学術団体などが協力して、これらの課題に対する具体的な検討を進めることが必要と考えられます。
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プレスリリース
研究代表者
筑波大学医学医療系
濵野 淳 講師