スパイス抽出液の特性を光で推定する方法を開発

代表者 : 粉川 美踏  

スパイスの抽出液に含まれるポリフェノール類やフラボノイド類の総量、抗酸化能や還元能などの特性を、光を用いて非破壊的に推定する方法を開発しました。ポリフェノールやフラボノイド類が発する自家蛍光を網羅的に捉え、機械学習の手法により、高精度に成分評価が可能になることを示しました。
スパイスをはじめとする植物体には、ポリフェノールやフラボノイド類など多くの有効成分が含まれています。これらの有効成分を抽出する際、わずかな条件の違いでも抽出効率が大きく変わってしまうことがあり、抽出液にどの程度、有効成分が含まれているかを調べるのは容易ではありません。

本研究では、ポリフェノールやフラボノイド類が発する蛍光を網羅的に計測し、機械学習の手法を用いて解析を行うことで、高精度かつ簡単・迅速に、総ポリフェノール量や抗酸化能を推定する方法を開発しました。特に工夫をしたのは、試料を測定する時の濃度です。一般的に、蛍光を計測する際は「適切な」濃度に薄める必要があるとされています。しかし、植物体の抽出液中に含まれる成分の量ははさまざまであり、適切な希釈濃度は一意に決まりません。そこで、4段階の希釈濃度で蛍光の網羅的測定を行い、それらの情報をすべてまとめて機械学習に用いました。

その結果、総ポリフェノール量、総フラボノイド量、抗酸化能、還元能といった、スパイス抽出液の評価に重要な指標を高精度に推定することができました。とりわけ総フラボノイド量については、過去にこのような光計測による推定が行われた事例はなく、本手法の有効性を示すものと考えられます。

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プレスリリース

研究代表者
筑波大学生命環境系
粉川 美踏 助教

BUI Thi Bao Chau 日本学術振興会特別研究員

掲載論文
【題名】 Utilization of multiple-dilution fluorescence fingerprint facilitates prediction of chemical attributes in spice extracts
(スパイス抽出液の多重希釈および蛍光指紋計測による化学特性推定) 【掲載誌】 Food Chemistry 【DOI】 10.1016/j.foodchem.2023.138028