研究のグローバル化が萌芽的・ノーベル賞級トピックの産出効率に影響する

代表者 : 大庭 良介    中核研究者 : Mathis Bryan James  

生命科学・医学分野の論文データベースを分析したところ、過去50年に渡って各国の研究トピックの画一化が進んでおり、国の経済力とは関係なく、この画一化が萌芽的研究トピックの産出効率を上げる一方で、ノーベル賞級トピックの産出効率を下げることが明らかとなりました。

研究活動は、過去半世紀の間、グローバル化の一途をたどってきました。その利点については多く論じられるものの、科学イノベーション創出における欠点については限られた議論しかありませんでした。本研究では、生命科学・医学分野の最大の論文データベースであるPubMedを用いて、過去50年間に米国・中国・日本を含む53か国より発表された論文を対象に、研究トピックの変遷を分析し、この分野におけるグローバル化の影響を調べました。

その結果、各国ともグローバル化と経済成長に伴って、論文数、萌芽的トピック、ノーベル賞級トピックの産出の絶対数を増加させてきた一方で、2000年以降には、ノーベル賞級トピックの産出効率が著しく低下してきており、この傾向は国の経済力とは関係がありませんでした。同時に、研究トピックの均質化がノーベル賞級トピックの産出効率を低下させることも明らかとなり、その要因が研究のグローバル化による研究トピックの均質化である可能性を見いだしました。

 

本研究成果は、我が国の研究政策に貢献する基盤的知見となると期待されます。

 

 

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学医学医療系
大庭 良介 准教授
マチス ブライアン 准教授

掲載論文

【題名】
Trends in emerging topics generation across countries in life science and medicine.
(生命科学・医学分野における国別の萌芽的トピック産出の傾向)
【掲載誌】
Journal of Informetric
【DOI】
10.1016/j.joi.2024.101552