代表者 : 内田 太郎
航空レーザー測量による高精細地形データを用いて、斜面崩壊の面積・深さと斜面勾配の関係を分析し、斜面の「土の厚さ」が土砂災害の発生に大きく影響することを明らかにしました。この成果は、気候変動下における災害リスク予測の高度化に貢献すると期待されます。
豪雨や地震に伴う土砂災害が全国で深刻化しています。しかしながら、土砂災害の発生場所や規模を高精度に予測することは難しく、将来の気象の変化が災害にどのような影響を与えるかについても十分には理解されていません。その要因の一つとして、崩壊に関与する地下数十cm〜数mの浅い土層構造の把握が困難であることが挙げられます。一方で、航空レーザー測量の進展により、災害前後の高精度な地形データが利用可能となり、斜面崩壊の詳細な形状を解析できるようになってきました。そこで本研究では、こういった地形データを用いて、土砂災害発生メカニズムの解明を目指しました。
過去の複数の豪雨災害事例における斜面崩壊データから、崩壊の面積・深さと斜面勾配の関係を分析しました。その結果、従来重要視されてきた崩壊面積と深さの関係は限定的であり、斜面勾配が崩壊の深さを強く規定していることが明らかになりました。特に、崩壊する土の厚さは勾配に応じた一定の範囲に収まることが分かりました。この関係は理論的には予測されていましたが、今回、実際の災害データに基づいて初めて実証されました。
これらの知見は、斜面勾配と土の厚さという比較的シンプルな指標から、土砂災害の発生場所や規模を推定できる可能性を示唆しています。さらに、気候変動に伴う降雨条件の変化を考慮した災害リスク評価やハザードマップの高度化に貢献するとともに、将来の防災・減災に向けた基盤となると期待されます。