日本の高山では雪融期も降雨期も地下水が河川流量を支えていた

代表者 : 辻村 真貴  

冬に多くの雪が積もる一方、夏にも多量の雨が降る日本の高山帯において、融雪期から夏・秋の降雨期にかけて河川等を継続観測しました。地下水が融雪時だけでなく降雨時にも河川の流量を支えていること、地下水が河川の流量に占める割合は隣接する流域間で大きく異なることが明らかになりました。

高山地域は、積雪や降雨を蓄え、下流へ水を供給する重要な「水源」です。高山帯の水循環に関する研究は欧米の雪の多い地域を中心に進められてきましたが、日本を含むアジアモンスーン地域は、冬の降雪に加えて夏にも多量の雨が降るという特徴があります。このような環境で、融雪水や雨水が地下水を介してどのように河川へ流出するのかは、十分に解明されていませんでした。

本研究では、北アルプス・乗鞍岳の植生量が異なる隣接した二つの高山流域で、2023年7月から10月まで河川流量を連続観測するとともに、河川水、湧水、雨水、融雪水の化学成分と水の同位体比を分析しました。その結果、河川水の主な起源が融雪水から雨水へ季節的に移り変わる一方、地下水がその両方の時期に河川の流量を支えていることが分かりました。また、地下水が河川の流量に占める割合は、植生の少ない流域では約13%、植生の多い流域では約74%と大きく異なりました。

この違いには植生だけでなく、地質や地形、さらには地表面の流域界を越える地下水の流れも関係している可能性があります。本成果は、気候変動に伴って積雪量や降雨、植生が変化する中、日本の高山地域の水循環や下流への水供給がどのように変化するかを理解するための基礎となります。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学生命環境系
辻村 真貴 教授

信州大学 学術研究院理学系(理学部理学科物質循環学コース)
榊原 厚一 准教授

掲載論文

【題名】
Subsurface water runoff in an alpine catchment covered by Pinus pumila, Northern Japan Alps, Asian monsoon region
(アジアモンスーン地域・北アルプスのハイマツからなる高山流域における地下水流出)
【掲載誌】
Hydrological Sciences Journal
【DOI】
10.1080/02626667.2026.2730347

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