世界初 医療ロボットによる未来開拓(科研費NEWS_2013_vol3)

代表者 : 山海 嘉之  

世界初 医療ロボットによる未来開拓(科研費NEWS_2013_vol3)

筑波大学・サイバニクス研究センター・センター長 山海 嘉之

科学研究費助成事業(科研費)

身体障害者のための埋め込み型運 動系補助脳の開発に関する研究 (1996-1997 萌芽的研究)

歩行障害者のための自律・パワーアシス ト複合型外骨格歩行支援システムHAL の開発(2000-2001 基盤研究(B))

インタラクティブ外骨格パワードスー ツとモビリティ・プロモーションに関す る研究(2002-2004 基盤研究(A))

自律・随意複合型サイバニックロ ボットスーツの開発とその基盤技術 化(2005-2008 基盤研究(A)) 重度身体障害者のための埋め込み 型適応運動系補助脳の開発に関す る研究(1998-1999 萌芽的研究)

2007-2011 文部科 学省グローバルCOE プログラム「サイバ二ク ス:人・機械・情報系の 融合複合(サイバ二ク ス教育研究拠点)」

2009-2013 NEDO ロボット・新機械イノ ベーションプログラム (生活支援ロボット実 用化プロジェクト)「安 全技術を導入した人間 装着型生活支援ロボッ トスーツHALの開発」

2009-2013 内閣府 (最先端研究開発支援 (FIRST)プログラム) 「健康長寿社会を支え る最先端人支援技術 研究プログラム」

医療福祉に関する諸課題は、超高齢社会を迎えたわが国が直面する 大きな社会問題である。その中で、運動機能が低下した方、脳・神経・ 筋系の疾患患者や障がい者の方への機能改善や機能改善治療、介 護者の方への作業支援の必要性が高まっている。

サイバネティクス、メカトロニクス、インフォマティクスを中核として、IT技 術、ロボット工学、脳・神経科学、生理学、行動科学、心理学、法学、倫 理学など、さまざまな学術領域を融合複合させた包括的な学術分野と して、「サイバニクス」という新学術領域を確立。

この技術を駆使した世界初のサイボーグ型ロボット「ロボットスーツ HAL」を開発。体に装着することで人間の身体機能を改善・補助・拡張 するロボットスーツには、動作意思を反映した生体電位信号に従って駆 動する「サイバニック随意制御システム」と、自律的に動く「サイバニック 自律制御システム」の2つがハイブリッドシステムとして機能する。

脳卒中患者や脊髄損傷患者に適用した結果、歩行速度が17%速ま り、歩幅が広がった。機能改善、効果的な機能改善治療につながる可 能性があることが分かった。米リハビリ医学会誌電子版に掲載。

ロボット治療・医療機器に対する世界初の国際認証「ISO13485」(医 療機器製造の品質マネジメントシステム)を取得し、さらに欧州全域で 脳・神経・筋系の機能改善治療を行う世界初のロボット治療機器とし て医療機器(CEマーキング)を取得した。日本発の世界をリードする革 新技術を用いたロボット医療機器が誕生。今後、HALは様々な病名の 機能改善・機能再生治療への展開をはじめ、生活支援、重作業支援、 災害レスキュー支援などの、様々な分野で活用されることが期待されている。